2018年2月18日日曜日

2018.02.17 陸上自衛隊第12音楽隊演奏会

那須野が原ハーモニーホール 大ホール

● 開演は午後2時。入場無料。事前に往復はがきで申込んで,整理券をもらっておく方式。
 ぼくはこの演奏会があるのを知ったのが遅くて,応募締切日の2日前にはがきを投函したんだけど,運良く“当選”になった。
 宇都宮で催行されたときは,あえなく落選したことがある。今回もほぼ満席だったから,人気があるということなんだよね。

● 高度な水準の吹奏楽を聴こうとすれば,東京佼成やシエナなど,いくつかあるプロ吹奏楽団か,そうでなければ自衛隊音楽隊ということになる。
 そのことを皆,知っているんでしょうね。だから,言っちゃ悪いんだけど,こういう田舎でやるときが狙い目。“当選”の確率が高くなるから。
 じつは第12音楽隊の演奏を聞くのはこれが初めてではない。2010年2月に高根沢町町民ホールで聴いている。このときは,事前申込みも必要なくて,当日フラッと行けばよかったんだよね(ただし,ホールは満席になった)。

● 入場の際に荷物検査(?)があった。ディズニーランドでやっているようなやつ。それと君が代斉唱があった。
 あ,あと主催者挨拶があった。ぼく一個は,その演奏会がどのようなものであれ,演奏会に演奏以外のものがあってはならぬと思っている。まして,リーフレットに主催者挨拶が載っているのだ。それと同じことをステージで喋ることに何の意味があるのか。
 地元選出の国会議員や首長を招待している以上,そういうわけにもいかないのではあるけれども,それでもなお,演奏会のステージに演奏とは独立した“言葉”を入れるべきではないと,どうも頑なに思っているんだな,ぼくは。

● プログラムは次のとおり。
 バーンスタイン 「キャンディード」序曲
 行進曲メドレー(旧友 星条旗よ永遠なれ 軍艦行進曲)
 イルジー・パウエル ファゴットコンチェルト
 オッフェンバック 喜歌劇「天国と地獄」序曲

 R.シュトラウス ツァラトゥストラはかく語りき
 ヴァン・マッコイ アフリカン・シンフォニー
 渡邊浦人 必勝祈願太鼓
 森田一浩編 すべてをあなたに
 佐久光一郎編 Paradise Has No Border
 グレイテスト・ヒッツ・山口百恵
 日本レコード大賞 青春の70年代

 アンコール:いずみたく 永六輔(詞) 見上げてごらん夜の星を

● 「キャンディード」序曲で水準は了解。これをタダで聴けるとはラッキーだ,と下世話にも思ったよ。
 行進曲の中でも,この3つは淘汰に耐えて残っている代表的なもの。ずっと聴いていると陶然としてくる。たしかに,音楽の力というものがあると思わせる。悪くいえば神経を麻痺させる。これもいい演奏で聴けばこそなのだが。

● ファゴットコンチェルトといえばやはりモーツァルトが有名だと思うんだけど,ヴィヴァルディやヘンデルなど,曲そのものはけっこうな数がある。が,モーツァルトのものも含めて,聴く機会がほとんどない。
 まして,パウエルのこの曲は,存在自体をぼくは知らなかった。CDも持っていない(CDはちゃんと出ている)。たぶん,この曲を生で聴くのは,これが最初で最後だろう。貴重な機会をものにできた。
 「天国と地獄」序曲は,コンミスのクラリネットの清けき響きが聴きどころでしたか。微妙なさじ加減を誤らないということ。

● 自衛隊の広報が音楽隊の仕事の大きなひとつだからか,サービス精神に富む。これでもかというほど,客席サービスに努める。
 自分たちもそれを楽しんでいるようでもある。音楽を業とするほどの人は,だいたいノリはいいのであろうけどね(数の中にはそうではない人もいるかもしれない)。

● 彼らが想定する客席のレベルは,かなり低いところに設定されているようだ。多くの経験を通じて,このあたりだとわかっているのだろうね。
 R.シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」は30分程度の曲のはず。それを導入部だけで終わりにしたのも,全部聴いてもらうのは無理だと考えたからかなぁ(ま,時間の都合なんだろうけどさ)。

● 残念ながらというか,それがピタッと当たっているので,やることなすこと,ことごとく聴衆のツボにハマる。
 ぼくもまた,最も印象に残っているのが,“第12音楽隊の山口百恵”だったりするから,彼らが想定した聴衆の一人であることは,歴然としている。うぅ~む・・・・・・

● その“山口百恵”。山口百恵役を務めたのは田中知佳子さんとおっしゃる。彼女,本職(?)はホルン吹きのようなんだけど,山口百恵を掴んでいる感じなんだよね。掴みが上手い。山口百恵になりきると決めて,そこにケレン味がない。
 書道でいう臨書,手本を見ながら字を書くことだけれども,その臨書の意臨が巧みといいますか。たとえて言うなら,そんな感じ(ちょっと褒めすぎかも)。

● バラエティにしてみたり,芸人になってみたりっていうのも,演奏水準が高度だからこそ,結果において活きることになるのであって,下手クソにそれをやられると,ぼくなら腹を立てる。
 ひょっとすると,自衛隊の音楽隊というだけで拒否反応を示す人がいるかもしれないと思うんだけども,そういうことでは大きな楽しみを取り逃がすことになるかもよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿