2016年4月30日土曜日

2016.04.29 教会で聴く 音楽の捧げもの J.S.バッハとサンスーシ宮殿の音楽家達

カトリック松が峰教会 2階聖堂

● 「DUO SAKITANI FLUTE CONCERTO Vol.10」とある。こちらが正式な名称になるのかもしれない。DUO SAKITANIというのは,崎谷直さんと崎谷美知恵さんのこと。夫婦なのだろう。
 メンバーは,ほかに,渡邊弘子さん(ヴァイオリン),玉川克さん(チェロ),平山亜古さん(チェンバロ)。

● 開演は午後4時。チケットは3,000円。
 プログラムは次のとおり。
 クワンツ トリオソナタ ハ長調
 キルンベルガー フルートソナタ ト短調
 C.P.Eバッハ トリオソナタ ニ短調
 フリードリッヒ大王 フルートソナタ ニ短調
 J.S.バッハ 「音楽の捧げもの」より

● クワンツのトリオソナタは,DUO SAKITANIのフルートとチェロ。あと,チェンバロ。キルンベルガーのソナタは,崎谷直さんのフルート(とチェンバロ)。
 C.P.Eバッハのトリオソナタは,崎谷美知恵さんのフルートと,ヴァイオリン,チェロ(とチェンバロ)。フリードリッヒ大王のソナタは,崎谷直さんのフルート(とチェンバロ)。

● この時代,宮廷に集っていた貴族たちっていうのは,相当に繊細な感覚を備えていたんだろうな。微差を楽しむゆとりというかマニアックさというか。
 つまり,ぼくが聴くと,どれも同じに聞こえてしまうのでね。つまり,今のぼくが当時の宮廷に紛れこんだとしても,宮廷の雰囲気についていけず,いわれなき反発を覚えるに違いない。
 なんだ,こいつら,どっちでもいいようなことに口角泡を飛ばしやがって,とか思ってしまうんだろうなぁ。

● 最後は「音楽の捧げもの」。これが聴きたくてチケットを買った。
 演奏したのは「3声のリチェルカーレ」「無窮カノン」「逆行カノン」「反行カノン」「5度のフーガ・カノニカ」「4声のカノン」。そして「トリオソナタ」。
 と書きながら,われながらバカなことを書いているなぁと思う。そんなのはどうでもいいので,要はどう聴いたかということだ。
 これがどうもおぼつかない。CDを聴いて勉強し直さないといけないな。

● 1曲ごとに崎谷さんの解説が入った。演奏よりも長い解説。可能であれば,こういうものはプログラムノートに回していただいたほうがありがたい。
 曲と曲の間が空きすぎて,せっかく演奏で高まった熱が冷めてしまう。もう一度火入れをするのは,けっこう大変だ。

● 客席との一体感を高めたいと思われたのかもしれないし,ずっとこの方式でやってきて,お客さんから好評だったのかもしれないんだけどね。
 ぼく一個は,演奏以外のものはないほうがいいと思っている。オーケストラの演奏で,指揮者がプレトークをやるようになったのはいつからか。要らないぞ。

● どうしてもというのであっても,情報量をまったく落とさずにこの半分の時間に圧縮することができるのじゃないか。たとえ解説であっても,冗長は親の仇である。
 というわけなので,今回の演奏で最も印象に残ったのは,最後の「トリオソナタ」だ。10数分間,解説が入らないままで聴くことができたからだ。

● 松が峰教会は建築物として見ると,相応の芸術的価値を有するものだと思う。が,音楽を聴く環境としてはあまりよろしくない。
 まず,木のベンチが固くて,長く座っているのは辛い。中央部の何本かの柱が視界をさえぎる。
 聖堂といっても敬虔の気に満ちているわけではない。聖堂内の様子を最も的確に表現する単語は“キッチュ”ではあるまいか。
 つまり,教会で演奏することにこだわることはないんじゃないかってことなんだけど,大きなお世話であろうな。

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