2014年6月24日火曜日

2014.06.22 ベルリン交響楽団 ベートーヴェン・交響曲チクルス-3

栃木県総合文化センター メインホール

● 朝から雨。この時期,日本は雨期に入っているんだから,雨は降って当然だ。梅雨と台風がなかったら,日本列島は砂漠になるらしい。ありがたい雨というわけだ。
 ともあれ,3回目。開演は午前11時。演奏されるのは6番と7番。

● トルコ顔のフルートで7番が聴けるのかと思うと,朝からワクワクしたわけなんだけど,まずは6番。
 で,ですね,この6番がすごかったんですよ。今まで聴いたことのないテイストでしたね。
 どういうテイストだったんだよ,そこを説明しろよ。
 いや,それがわからないんですよ。こんな6番は初めてだというのだけはわかる。だけど,それが甘いんだか,辛いんだか,酸っぱいんだかは,わからない。どこをどう調理するとこういうテイストになるのかもわからない。だめだな,オレ。

● わりと荒っぽい感じも受けましたね。演奏が荒っぽいのではない。荒っぽさをめざしていて,めざすとおりに荒っぽく表現できていたんだろうなぁと思うんですよ。
 そのめざす方向が,今までぼくが聴いたいくつかの演奏とは違っていたんだろうな,と。まぁ,無理やり理屈を捻りだそうとすると,そんなふうなことになる。って,理屈になっていないか。

● ぼくには驚きの6番だった。6番ってベートーヴェンの中では少々平板で,起伏に乏しいよなと思うこともあったんだけど,そこのところを揺さぶってもらえた感じ。
 こんなふうにもできるんだよ,坊や,ってなもんだ。

● さて,7番。でも。あら,残念。トルコ顔が引っこんでしまった。
 替わって1番フルートを取ったのは,東洋系の若い女性奏者。緑なす黒髪っていう,古い言い方が浮かんできた。いや見事な黒髪で,たぶん,彼女も相当にこだわっているんじゃないかねぇ。ただ,わが大和撫子ではない(と思う)。
 その黒髪のフルートもぜんぜんOKなんですよ。OKというレベルじゃなくて,相当すごい。7番はフルートが前衛でオーボエが後衛を務めるテニスのダブルスのような按配だから,この二つがぶれないでいてくれると,全体が締まる。
 で,ピッと締まった7番になった。

● 長髪男性のファゴットも注目をひいた。テンポを刻む安定感ね。
 ティンパニもいやでも目立つわけだけど,見事な捌きですよね。敏捷でムダな動きがない。この天気じゃ楽器の調整も厄介だったろうけど。
 それからホルン。第3楽章に1ミリも乱れが入らない。ここはホルンだもんなぁ。

● 大晦日に東京文化会館で催行される「ベートーヴェンは凄い! 全交響曲連続演奏会」というのがありますね。1日で9つの交響曲を1番から順に演奏するという破天荒な演奏会なんだけど,2011年から3年連続で聴きに行っている。
 その中で最も圧巻だったのは,2012年の5番と7番だった。ぎゅっと圧縮した集中が切れることなく,鬼気迫るような演奏になった。
 今回のベルリン交響楽団の7番には,鬼気迫るといった気配は感じなかった。その理由はけっこうはっきりしている。演奏のうちに柔らかさを含んでいたからだ。
 ここは自信がないままにポロッと言っちゃうんだけど,鬼気迫るというのは最上ではない。ファインプレーをファインプレーにしない,あるいはファインプレーに見せない,プレーの仕方があるようなのだ。

● ここまでの演奏をしたうえで,今回もアンコールがあった。「フィガロの結婚」序曲。
 さて,残すは8番と9番。なんだかさ,お祭りの終わりが近づいてきた寂しさを感じてね。雨のせいもあるかな。

0 件のコメント:

コメントを投稿