2013年11月4日月曜日

2013.11.04 宇都宮シンフォニーオーケストラ秋季演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 宇都宮シンフォニーオーケストラ,今回の秋季演奏会にはブルックナーを持ってきた。ブルックナーを取りあげただけで偉い,とまで持ちあげるつもりはないけれど,それなりの勝算がなければ,舞台にはかけないものだろう。
 ともかく,メインはブルックナーの交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」。露払いはブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」。
 開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。

● ブルックナーって,生では聴いたことがないと思ってたんだけど,2年前の4月に,当時の古河フィルの演奏で7番を聴いていた。忘れていたくらいだから,まともな聴き方ができてなかったのだろう。
 8月の末に2日間で交響曲のすべてを一気聴きしてみたんだけど,ぼくの耳ではすべて同じ曲に聴こえた。ブルックナーは5番から音楽的に深みが出てくる,っていう話も聞くことがあるんだけども,ぼくにはぜんぜんわからず。
 その後,何度か聴き直してみたんだけど,やっぱり印象は変わらないまま,今日になった。

● 弦のトレモロがやはり印象的でしたね。ブルックナーの「原始霧」と呼ばれたりするんですってね。
 森林の暗い霧の中を連想させるというわけだけど,このトレモロから連想するのは,森林の霧とは限らないでしょうね。
 生命の誕生を思う人もいるかもしれない。初めて生命が誕生する前のかすかなゆらぎ。母親の胎内にいたときの,何の悩みもない安らぎを想像する人もいるかも。ゆりかごに揺られてたゆたっているような。

● ただ,「原始」というのはすこぶる言い得て妙。このトレモロに限らず,曲のそちこちに,始原的なものを感じさせる仕掛けが施されているような印象あり。
 宇宙の始まり。地球の誕生。水ができて酸素ができて。かすかな芽吹きの気配。目を醒ましそうな赤ん坊。そういう始原的なもの。

● でね,そういう感じって,睡眠中枢をけっこう深い部分で刺激するっていいますかね,要するによく眠れそうなんですよ。
 大音量で盛りあがっていくところがあるわけだけど,そんなものではとても目が醒めないほどに深い眠りに誘ってくれるっていうかさ。

● 冒頭のホルンのソロ。これがその後の演奏の質を決めますか。いや,そんなことはぜんぜんないんだと思うんですけどね。ただ,客席に届く印象はこのホルンが決めてしまうかもね。
 お客さんってだいたい気短かだからさ,今日はこれくらいの水準だなってサッサと決めつけて,安心したがるところがあるような気がするんでね。
 ホルン吹きにとっちゃ,けっこう以上の重圧だね,ここ。

● フルートの1番,オーボエの1番,クラリネットの1番も,それぞれかかってくる圧をはねのけないといけない。
 っていうか,ヴァイオリンもヴィオラも,ひと晩寝たら右腕が筋肉痛になってないかっていうくらいのものだなぁ。労働量の多い曲ですねぇ。体は鍛えとかなくちゃいけないんですねぇ。

● アンコールは「Stand Alone」。森麻季さんの役はクラリネットが務めた。
 何はともあれ,ブルックナーを生で聴けたわけで,これを機にブルックナーに対するぼくの耳が,もうちょっと良くなってくれるといいんだけど。

0 件のコメント:

コメントを投稿