2013年8月26日月曜日

2013.08.25 カルメン with アンサンブル・ノマド

大泉町文化むら 大ホール

● 今回の会場は群馬県大泉町。駅名は小泉なのに,町名が大泉とは,これいかに。
 「大泉町文化むら」はありえないほどに立派な施設。なんだ,こりゃ。なんでこんな田舎にこんな立派な施設があるのだ。大ホールも文字どおりの大ホールで,お金がかかっている。その辺の町民会館とはわけが違う。
 しかし,場内にそこはかとなく漂う田舎臭は消すことができない。っていうか,この雰囲気はぼくには近しいもので,むしろホッとするんだけどね。

● ともあれ,アンサンブル・ノマドの演奏を聴くために,ここまで来た。いや,意外に近いんですけどね。少なくとも,わが家からだと茨城のつくばに行くよりはずっと近い。
 開演は午後2時。チケットは2,000円(当日券)。

● 第1部は「カルメン」のハイライトをコンサート形式で。地元の高校吹奏楽部や児童合唱団も登場。さらにバレエも。地元(大泉町に限らず)の音楽資源をすべて投入した?
 「アルルの女」を挿入してまで,バレエの見せ場を作っていた。「小林はつみクラシックバレエアカデミー」の生徒さんたちなんだけど,どうせやるならもっと彼女たちの踊りを見せてほしかったかなぁ。ないものねだりっていうんでしょうけどね,こういうの。

● 出演者は次のとおり。指揮は中川賢一さん。
 カルメン 谷口睦美
 ホセ 古橋郷平
 エスカミーリョ 加耒 徹
 ミカエラ 栗林瑛利子
 フラスキータ 村田優衣
 メルセデス 清水麻梨沙

● 歌は日本語で歌われたんだけど,たとえ日本語でも字幕をだしてほしくなりますな。
 っていうか,このメンバーだったら,原語で普通に聴かせてほしかったというのが正直なところ。
 もし可能なら,そっくりこのメンバーでカルメン全幕,やってくれないだろうか。そしたら,また大泉まで行くんだけどね。

● 第2部は,アンサンブル・ノマドの小コンサート。アンサンブル・ノマドって,ギターの佐藤紀雄さんを中心に結成された小集団。とんがったというと語弊があるんだけど,斬新な演奏会を開催していることで知られる。
 まず,リョベート編曲の「カタロニア民謡」から「アメリアの誓い」と「紡ぎ女」の2曲。佐藤さんのギター生音で。もちろん,初めて聴くもの。
 次は,ラロ「スペイン交響曲」の第5楽章。ヴァイオリンは甲斐史子さん。

● ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」の第2楽章。手元にCDは2枚あるけど,聴いたことがあったかどうか。聴かなきゃいけませんね。
 最後は同じくロドリーゴの「4つの愛のマドリガル」から「ポプラの林へ行ってきた」。CDが出ていることはわかってるんだけど,ぼくは持っていない。マドリガルっていうんだから当然,歌が入る。栗林さんが登場。
 栗林さん,オペラ界のアイドルになれる素質があるように思えたんですけど。

● 以上で終わり。
 のだが,このあと,「カルメン」の出演者全員がステージに並んで,アンコールはじつにヴェルディ「椿姫」の“乾杯の歌”。これはお得感が強かった。お得の範疇を超えてましたね。
 嬉しかったですね,これはかなり。大変なサービスをしてくれたんだと思う。

● 以下,余談。
 はるかな昔,JR線全線完乗っていうのを試みたことがあった。宮脇俊三さんの著作に影響されてのこと。果たせぬまま,熱が冷めてしまった。けど,熾火のようなものはまだ残っているようだ。
 今回は,館林から東武の小泉線に乗ったんだけど,この路線に乗るのは,これが最初で最後かもしれない。となれば,全区間に乗っておきたい。
 そんなわけで,「大泉町文化むら」へは東小泉で降りるのが近いんだけど,終点の西小泉まで乗って,西小泉駅から歩いて行った。

● このあたり,元々は黒土に覆われた畑だったんでしょうな。その前は平地林だったのか。今は人口4万の町。
 ブラジル人が多く住んでいるらしい。日伯ナントカ協会とか,彼らのための教会とおぼしき建物がいくつかあった。
 大泉って,ひょっとすると群馬県で最も裕福な町なんだろう。が,それは主には町の財政の話であって,街並みはごく普通。ヒッソリとしていた。買いものと遊びは太田に出て,ってことなんでしょう。

● 帰りは東小泉から太田を経て赤城まで行く電車(桐生線)に乗っておくことに。これまた,こんな機会でもないと,まず乗ることのない路線。
 太田駅は高架化されている。立派な駅だ。圏域の中心でしょうね,ここが。ホテルやマンションの高いビルがニョキニョキと建っていて,このエリアでは異質な雰囲気。両毛のマンハッタン。
 中心部の空洞化など,どの地方都市も抱えている問題はここにもあるらしいけど,車窓から眺める分には堂々たる都市景観に映る。
 隣の館林からは停滞しか感じないのに対して,ここは胎動しているという印象(ただし,胎動が停滞に勝るとは限らない)。足利や桐生にはない勢いをまだ保持している感じ。それもこれも富士重工のおかげなんだろうか。

● さらにいいのは,この都市景観が非常にコンパクトなエリアに収まっていることで(都市がだらしなく広がっているのは,はなはだよろしからず),少し行くとベト6的風景に戻る。
 住みやすいところかもしれない。東京に出るにも便利っぽいし。

● 赤城からは上毛電鉄で桐生にでて,JR線で帰宅。ちなみに,上毛電鉄は全区間(西桐生~前橋中央)に乗車済みだ。だいぶ前のことだけど。
 ともあれ,こうして東武鉄道の小泉線と桐生線の全区間に乗車し,何がなし満足。伊勢崎線は館林~伊勢崎間が未乗なんだけど,これはまた別の機会に。


(追記 2013.09.09)

 東武伊勢崎線の未乗区間(館林-伊勢崎)に乗ってきた。

 太田で下車して街を少し歩いてみたんだけど,先日,車窓から抱いた印象とは全然違った。普通の地方都市だった。高いビルなんか目に入ってこなかった。
 「両毛のマンハッタン」と感じたのは何だったんだろう。人間の印象なんてあてにならないですね(いや,ぼくの印象は,と言い換えた方がいいですか)。

 周辺の市町から買い物客を集めるだけの商業施設の集積もないようだし(郊外にイオンがあるらしい),圏域における太田市のプレステージは,ぼくが思っていたほどでもないのかもしれない。

 南口を出ると目抜き通りの両側に風俗店が軒を連ねる。そこを高校生が自転車に乗って下校していく。壮観というか異様というか。目が慣れれば,異様とは感じなくなるのかもしれないけどね。
 若かったら気が高ぶったのかもしれないけれども,この年齢になってしまうと,別段そのようなこともなく,こういう街なのかと思うだけだ。

 浅草方面からの電車は,ほとんどが太田止まりではないか。特急電車は太田から桐生線に入って赤城まで行く。
 ゆえに,太田から伊勢崎までの区間は,運転系統的には盲腸線の趣がある。とはいえ,日中でも30分に1本は走っているし,乗客もそれなりに多い。

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