2012年7月29日日曜日

2012.07.28 東京大学音楽部管弦楽団サマーコンサート2012

すみだトリフォニーホール 大ホール

● 今年もまたこの楽団のサマーコンサートを聴きに来た。田舎から自分の身体を運んでまでも聴くだけの価値があると信じているから,そうするわけね。
 チケットはS席で1,500円。といっても,座席はS席とA席の2区分で,両者の差は500円。予約したのが遅かったので,S席が少し残っているだけだった。きわどいタイミングだったかも(が,わずかに当日券もあったようだ)。開演は午後6時半。

● たとえ1,500円でもお金を取ってくれると,こちらの気分はむしろ楽になる。なにせ,団員の真摯さがビンビン伝わってくるし,技量も確かだ。普通にプロオケの演奏を聴いているときより,こちらの背筋が伸びる。これで無料にされたんじゃ,身の置きどころがなくなってしまう。

● 曲目は次の3曲。指揮者は例年のごとく三石精一氏。
 チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 レスピーギ 交響詩「ローマの噴水」
 メンデルスゾーン 交響曲第3番 イ短調「スコットランド」

● とにかく,出だしが勝負。どんな2時間を過ごせるかは,最初の10秒で決まる。この10秒でゾクゾクできるかどうか。だから,息をとめて演奏開始の瞬間を待つことになる。
 この点に関して,この楽団に裏切られたことはたぶんないはずだ。今回もしかりだった。
 何と言うんですかね,要するに穴がないんですね。すべてのパートの粒が揃っているっていうか。どこにゴロやフライが飛んできても,きちんと捕球してアウトにするっていうイメージですね。

● 手堅い守備力だけじゃない。「スコットランド」では表現力の高さも見せてくれちゃった。これも出だしからね。ぼくが聴いているCDはロンドン交響楽団の演奏を収録したものなんだけど,そのCDをそのまま生演奏にしたのかっていう錯覚に一瞬おそわれたくらいで。
 表現のキメが細かいんですよ。もちろん,技術の裏打ちがあるわけですね。加えて,若さゆえの清新さ。

● コンマスがコンマス然としているのもいい。毅然とした佇まいがあるんですな。オケを引っぱっているっていう(本当にそうなのかどうか,それは知らないけどさ)。中には,団員の顔色を窺ってそれに合わせようとしてるんじゃないかと思える人もいるからね。
 コンマスといえば,オケを代表して指揮者とやり合う局面もあるはずでね。強い人じゃないと困るよね。たんに,技術トップというだけでは足りない。この楽団のコンマスが三石氏とやりあうってのは想定しにくいわけだけど,それはそれとして,ね。
 彼,2年前の駒場祭でも,1・2年生だけのオケでコンマスを務めていた。すっかり大人の骨格と顔立ちに変わっていた。ほんとにこの時期の若者の変化って,予測を超えることがあるよねぇ。

● この会場はステージと客席の高さがけっこうある。比較的前の方の席だったこともあって,オケを見あげる形になった。この角度でステージを見るのは初めての体験。
 この角度からは,指揮者の動作がよく見える。三石さん,そろそろ80歳になるんじゃなかったか。髪も黒々としているし(染めているとは思えない),贅肉はついてないし,動作は軽やかだし,肉体年齢は相当若い。ひょっとすると,今でも筋トレとかして体を鍛えているんじゃないか。
 まぁ,ある種の怪物なんでしょうねぇ。節制とか鍛錬も裏側にあるんだろうけど,基本はDNAだよなぁ,こういうのって。
 でも,指揮者って総じて長命ですよね。加えて,生涯現役の人が多い。70歳を過ぎてから円熟期に入ったと言われることもありますもんね。そういう職業って,ほかにはあまりないんじゃないでしょうか。

● すべての演奏が終わったあとに,客席を巻きこんで「歌声ひびく野に山に」を歌うのが,この楽団のサマーコンサートの習わしになっている。
 今年のサマーコンサートは今回をかわぎりに,神奈川,富山,京都,高知で開催されるんだけど,開催地出身の団員が,合唱を指揮する。
 で,今回の指揮者がまぁ,女優にもなれそうな美人。歌っている場合じゃないよなぁ。ステージ上の彼女に見惚れていたことは言うまでもない。

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