2012年5月3日木曜日

2012.05.03 日本舞踊ワークショップ(藝○座宇都宮公演)


栃木県総合文化センター サブホール

● 月が代わって,5月の3日。豪雨の中を総合文化センターに出かけた。サブホールで「とちぎ舞台芸術アカデミー2012 日本舞踊ワークショップ」が開催されたので,それを見に。
 演ずるのは「藝○座」。芸大邦楽科の卒業生が結成した一座で,モットーは「まるく,楽しく,わかりやすく」とのこと。

● 日本舞踊と聞いてまずぼくの頭に浮かぶイメージは,着物姿の女性たちの群舞だ。えも言われぬセクシーさがある。舞台芸術の核心はセクシーさだよなぁと決めつけていたきらいがある。
 いや,舞台芸術の核心がセクシーさにあるってことは,まだ撤回の必要を認めていないんだけれども,「日本舞踊=群舞」ではないってことは,2年前に芸大の大学祭(藝祭)で邦楽科の学生たちのいくつかの実演を見て,よくわかったつもり。

● ぼくは日本舞踊については何も知らないに等しいってことね。正直,「知る」なんてたいしたことじゃないとも思っている。要は,舞台をただ楽しめばいいのだ。もし,楽しめないのなら,自分には無縁なものだったと思い決めて,撤退すればいいだけのこと。
 楽しめるようになるためにまず勉強するなんてのは,そもそも楽しみ方の道にはずれたことだ,と勝手に思っている。そんなことをしていられるほどあなたの人生,長いのですか。

● 今回のワークショップは,しかし,そんな初心者に対して,日本舞踊の楽しみ方を教えてあげようという試みで,実演を中心に,どうです,面白いものでしょ,って教えてくれるプレゼンのようなものだ。
 で,面白かったんです,これが。

● プログラムは3部構成。まず第1部は,清水一朗氏による「日本舞踊の変遷と歴史」と題する「おはなし」。何も知らない者には何もかもが新鮮。三味線が安土桃山時代に琉球から入ってきたものだってことも,日本舞踊が歌舞伎から分離したものだってことも。
 続いて,長唄「老松」の演奏。芸大邦楽科の卒業生であれば,それだけで技術は信頼するに値するものと,ぼくなどは思ってしまう。しかも若々しい。若々しさってのはそれだけで価値がある。老練の技ってのもあるに違いないと思うけれども,若いときにしか表現できない技もまたあるに違いない。
 ただ,若い彼らがこの表現をするのにどれほどの鍛錬を重ねたか,それを慮れるほどの鑑賞眼はぼくにはないのだった。

● 第2部がワークショップ。楽器と舞踊についての実演付き解説。これを知っているのと知らないのとでは,はやり舞台を味わえる度合いが違ってくるものだろう。
 舞踊についての「舞(まい)」と「踊(おどり)」と「振(ふり)」の3要素の話などは,実演付きで解説してもらうのでなければ,なかなか理解できないものではあるまいか。

● 15分間の休憩をはさんで第3部。藝○座の創作劇「四季」の実演。笑いあり,ファンタジーあり。
 この分野で生き残れる新作を作りあげることはなかなか容易なことではないと思われる。古典の存在が圧倒的だから。落語と同じだ。
 ド素人の感想だけれども,息長く演じていけば,大事に育てていけば,これは生き残れるんじゃないでしょうか。

● 若いとはいえ,観客あっての舞台だということは,彼らはよく理解している。舞台を職業にすると,サービス精神は自ずと身につくものなのだろうか。あるいは,先輩や師匠に厳しく叩きこまれるのかもしれないけれど。
 客に媚びてはいけないけれども,ファンサービスに手抜きがあってはならない。その辺の勘所もよく心得ているようなのは,さすがというべきでしょう(って,何を偉そうに語ってるんだか)。

● こうした催しを無料で開催してくれるとは,とちぎ未来づくり財団さん,ありがとう。

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