2018年5月17日木曜日

2018.05.06 東京ヒロムジカ・シンフォニー・オーケスター 第3回演奏会

紀尾井ホール

● 四谷駅から“ソフィア通り”を歩いて紀尾井ホール。新宿区から千代田区までの旅。上智大学でなんか催事があったらしく,ソフィア通りは外国人でごった返していた。

● 開演は午後2時。チケットは1,500円。当日券を購入。曲目はブラームスの3番と4番。指揮は村山弘さん。
 この楽団は「私たちの恩師,村山弘(ひろむ)先生が80歳をお迎えになる記念として,平成26年に結成され」たとある。村山さんの教え子たちが集まった楽団であるらしい。

● プログラム冊子の団員名簿には居住地が添えられている。東京都をはじめ首都圏の在住者が多いのだが,青森県がそれに次いで多い。
 村山さんは弘前大学で教鞭をとっていた時期があり,併せて弘前の市民楽団の指揮もしていた。そのときの教え子たちが長寿を寿ぐために集まったわけか。
 そりゃ,教師冥利に尽きるでしょうねぇ。嬉しいよなぁ。

● その村山さん,そういうわけで御年80歳を超えるわけだが,指揮者には若々しい人が多い。どういう理由によるものか?
 ひとつには,若い人たちといる時間が長いことだよね。彼ら彼女らの若さを吸い取っているはずだ。
 一般に学校の先生には実年齢より若く見える人が多いような気がする。同じ理由によると思う。

● もうひとつの理由として考えられるのは,指揮者を含めて演奏家は,陽性で反射神経に優れた人が多いことだ。数のうちにはそうじゃない人もいるんだろうけど,一般論としていうと陽性の人が多い印象がある。
 さらに,自分の居場所はここしかないと信じて疑わない人たちの集団であることだ。演奏以外の些事には拘泥しないんじゃなかろうか。以上が,若さを保てる所以だ。

● が,圧倒的な理由は1番目のものではないか。若い人たちに混じっていることはかなり大事なことだとぼくなんぞも思っている。
 若く見える見えないはいずれにしても,凝り固まらないでいるためには,若い人たちとの接触を断ってはいけない。というより,ありていに申せば,そこが生命線になる。
 が,普通人にとって,その環境を得ることは難しい。会社を定年になってしまえばなおさらだ。しかし,努めてそうあるよう心がけなければならない。SNSでもいいから,若い人たちとの接点は保っておくべきだ。

● そのためには,若い人たちに受け入れてもらえることが必要だ。これまた一般論としていえば,若者は年寄りが嫌いである。自分が若かった頃を思いだしてみればいい。年寄りと話していて,何が面白かったか。
 若い人たちが年寄りを受け入れるのは例外だ。その例外は何に起因するかをよく考えて,自分も例外たりうるべく努力しないとね。

● 例外を構成するものは3つあって,ひとつは圧倒的な実績。しかし,これはぼくや貴方には関係のないものだ。2番めは,世間や社会への直接的な介入や指図を控えること。3番目は,可愛らしい年寄りになることだ。
 “可愛らしい”をどうやって獲得するか。若さを畏れることは絶対に必要だ。将来は自分を遥かに凌駕する高いところに達するかもしれないのだと畏れること。現在の経験値を踏まえないこと。

● 演奏のレベルはかなり高い。気合いがこもった演奏で,吸引力は充分。短期集中でしあげたようなんだけど,それでここまで持ってこれるとは,個々の奏者の地力は相当なものと見受けられる。
 3番第4楽章は小宇宙の爆発が連続する。爆発の小気味よさを堪能した。
 4番にはトライアングルが登場する。そのトライアングルが耳に残った。これ,誰が叩いても似たようなもん,ではまったくないよねぇ。

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