2018年2月28日水曜日

2018.02.25 第6回本條秀慈郎 三味線リサイタル

宇都宮市文化会館 小ホール

● 開演は13時。チケットは1,000円。前売券を買っておいた。濃い固定ファンがいることが予想されたので。
 一度,2013年3月の「邦楽ゾリスデン」のコンサートで,当日券がなくて,聴くことができなかったという経験もしているし。

● 久しぶりに聴く邦楽。今回は本條さんの宇都宮エスペール賞受賞のお披露目も兼ねていたようだ。
 賛助は邦楽ゾリスデン,宇都宮ユース邦楽合奏団,それに和久文子さん。となれば,県内で望み得る最高水準。

● プログラムは次のとおり。
 挟間美帆 Distorted Wheel,Go On and On(本條)
 酒井健治 Cantus(本條 邦楽ゾリスデン)
 バッハ Partita for Flute Sarabande(本條 舞踊:妻木律子)
 権代敦彦 Triskelion 三味線のための(本條 舞踊:妻木律子)
 中能島欣一 三弦協奏曲第1番(本條 吉澤延隆 宇都宮ユース邦楽合奏団)
 沢井忠夫 銀河(本條 和久文子)
 中村典子 慈音 vox affectio(本條)

● 邦楽器についていろいろと妄想した。日本家屋は木と紙でできてるわけだから,西洋の建築物と違って,反響という物理現象は生じない。したがって,直接音の勝負になる。という前提で,今に至っているはずだ。楽器自体が反響を作りだす構造になっているんだろうか。
 しかし,そういうことはどうでもいいので,たとえば三味線のくぐもるような音色が日本民族に受け入れられてきたのは,いかなる理由によるものかということ。

● 邦楽器は旋律を奏でるよりも,刹那を表現するのに向いているのではないかとも思った。大方の賛同は得られまいが。
 つまり,そう思わせるような曲が多かったためだ。特に,最初の「Distorted Wheel,Go On and On」と最後の「慈音」。刹那をつないでいく曲のように思えた。
 クラシックの現代音楽もこんな感じなんだろうか。現代美術は好きな人とまったく受け付けないという人と,極端に分かれるのではないかと思うのだが,ぼくは遺憾ながら後者にとどまっている。
 そういう人は,こうした曲も苦手とするのかもしれない。聴き手を選ぶというか,高度な鑑賞能力を要求するというか。

● 合間にトークが2つ。ひとつは,酒井健治さんと本條さんの,もうひとつは,本條秀太郎さん,和久文子さんと本條さんの。
 本條秀太郎さんも和久文子さんも,知らない人はいない重鎮だ。けど,話しぶりを聞いている限りでは激しいところは感じさせない。偉大な常識人というか,穏やかな印象だ。
 が,穏やかなだけのはずはない。聴衆には見せない表情が当然あるはずだ。

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