2014年3月28日金曜日

2014.03.27 開成管弦楽団第23回定期演奏会

川口総合文化センター(リリア) 音楽ホール

● 川口って,駅東口と西口の様相が相当異なる。東口は活気と雑踏に満ちているが,西口は静かで知的な感じ。リリアは西口にある。
 静かで知的って,それだけでは生息できないから,東口あっての西口でしょうね。

● 開成管弦楽団はかの開成高校の中等部と高等部の生徒で構成されている。「かの」というのは東大合格者数が全国1位という意だけれども,開成高校についてはそれくらいしか知らない。
 ただ,昨年8月に聴いたサカモトキネンオーケストラの演奏会に,ソリスト(ピアノ)で登場した江里俊樹さんが開成の出身。開成中学では生徒全員が音楽でピアノを習うらしい

● ともあれ。開演は午後6時。入場無料。会場はリリア4階の音楽ホール。
 このホール,比較的小ぶりで正面にパイプオルガンを備える。オーケストラを載せるにはやや手狭かもしれないけれども,小規模な演奏なら,これ以上の環境はないんじゃないかと思う。いいホールですな。

● 曲目は次のとおり。指揮も生徒が務める。
 ショスタコーヴィチ 祝典序曲 イ長調
 チャイコフスキー 組曲「白鳥の湖」
 ラフマニノフ 交響曲第2番 ホ短調

● 前半の2曲は,わりと普通。中高生の合同チームだから,個々の技量に差があるのは仕方がない。とはいっても,ヴァイオリンなんかは就学前から習っている生徒もいるかもしれないけれども,それ以外の楽器は中学生になってから始めたのだろう。その中学生が半分いる楽団がここまで演奏できるのは大したものだよなあ。
 「白鳥」では荒削りという印象を受けたんだけど,中高生なのだ,それが当然だ。繊細さの表現はむしろ男のものという気もするんだけど,若干,技術が追いつかない。
 なんてことを思いながら聴いていた。ともかく,ここまで形にしてくるんだから刮目すべきでしょ,的な。

● ところが。休憩後にラフマニノフ2番が始まったとたん,すべきじゃなくて,刮目した。
 まず,指揮者。誰かについて指揮法を習ったんだろうか。それとも独学? プログラムの曲目解説には,「指揮するにあたって,僕はセルゲイ・ラフマニノフの作曲家としての魂,その行方を綴ったドラマとして捉えようと努めました」と書いている。方針は明確だ。あとは,どんなドラマに構成できたか。
 各楽章の解説は学識すら感じさせる。大量に聴いているのだろうし,自身もプレイヤーなればこその地に足のついた説明だ。語彙も豊富だ。いるんだなぁ,想像を絶する高校生。

● 「白鳥の湖」もそうだったんだけど,オーボエがお見事。センスなんですかねぇ。センスといってすませていたんじゃ,何も分析したことになりませんけどね。分析が必要か,とも思うけど。

● 第2楽章は乗りやすいのかもしれない。伸びやかにグイグイ行く。しかし,走りすぎることはなかった。
 次の緩徐楽章も大きな破綻なくまとめてきた。緩徐楽章になっていたのがすごい。繊細さがここではあったような。指揮者の力量か。このあたり,ぼくにはよくわからなかったけど。
 最終楽章。縦横無尽。登りつめてピタッと終わった。

● 終演後はため息が出た。中高生がここまでやるか。最後はそういう感想。

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