2014年3月3日月曜日

2014.03.02 那須フィルハーモニー管弦楽団第15回定期演奏会

那須野が原ハーモニーホール 大ホール

● 昨年中にパイプオルガンの取付け工事が終わって,面目を一新した大ホールが使えるようになった。パイプオルガンってメンテナンスも大変だと思うんだけど,ともかく正面にオルガンがあるホールを栃木県人も持つことになりましたよ,と。それも宇都宮じゃなくて那須なんですよ,と。

● その工事後の大ホールを見るのは,今回が初めて。こけら落としの演奏会もあったし,その後も山形交響楽団の演奏会とかあったんだけど,ぜんぶ行きそびれていた。
 「音楽の殿堂」的な趣が出ますよね,やはりね。このホール,設立して20年を迎えるらしんだけど,今回のオルガン設置で,施設としては最後の仕上げが終了したということなんでしょうかね。

● これほどの施設なんだから,あとはビシバシと使い倒すだけだ。このホールを運営するのは,那須野が原文化振興財団。置かれた環境の中で,よくやっているなと思える。丹羽正明前館長の遺産もあるのかもしれない。
 さらなる企画の充実というのは永遠の課題であり続ける。しかも,質は落とすな,地元の文化振興に寄与しろ,と言われるわけだろう。といって,地元のお客さんが来てくれただけでは,採算的にはぜんぜん合わない。ヨソから呼ばなきゃ。部外者には窺えない苦労があるのだと思う。

● 那須フィルはアマオケとしては破格に恵まれた環境にある。まず,このホールを練習でも使えること。立派な指導者をつけてもらえる。団費の負担も少なくてすむ。当日券の販売もホールのスタッフがやってくれる。自分たちでテーブルをだして売るってことをしなくていい。
 そもそもが定演の主催者は那須野が原文化振興財団であって,那須フィルではない。形式的には,那須フィルは主催者に招聘されて演奏する形だ(あくまで形式的には)。

● さて,那須フィルの定演。開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。
 指揮者は大井剛史さん。曲目は次のとおり。重量級の2曲。
 ビゼー 「アルルの女」第1・第2組曲(全曲)
 ラフマニノフ 交響曲第2番 ホ短調

● 本番に向けて練習を積み重ねてきているわけだ。午前中にはゲネプロもすませているだろう。それでも,お客さんが客席に座っている本番は,事前に体験することができない。演奏しながら本番に慣れていくってことがあるようだ。
 これを客席から見ると,演奏中に上手くなっていくという印象になる。「アルルの女」も開始直後は,堅さが見られましたかねぇ。第2曲に入ると,ぐっとなめらかさが増した感じ。
 特に,クラリネットにそれを感じた。演奏しながらグングン上手くなっていった。

● 第2組曲の第3曲(メヌエット)は,フルートの独演場。指揮者もここは手をとめて奏者にお任せするしかない,ってところでしょ。
 かなりプレッシャーだろうねぇ。その代わり,こんなに美味しい場面はそうそうない。そのフルートが大役を果たして,怒濤のフィナーレ。快い疲れが残った。
 この曲,普段はネヴィル・マリナー指揮,ロンドン交響楽団の演奏をCDで聴いている。そのCDに何の不満もない。シャキッと整理整頓の効いた演奏だ。が,こうして生で聴いてみると,こちらに届く情報量が圧倒的に違う。技術の巧拙を呑みこむ迫力がある。

● ぼくはピアノ曲がよくわからないでいるので,ラフマニノフはちょっと遠いところにいる人っていう感じ。唯一,この交響曲第2番だけが例外。
 ところが,この2番も,演奏する側は大変だろうね。難物という印象がある。響かせなきゃいけないし,かといって響かせりゃいいってもんじゃない(どの曲もそうなんだろうけど)。曲調がしっとりしているから,そのしっとり感を損なわないで演奏するにはどうすればいい? 難しいだろうなぁ,と。

● この演奏会では,大井さんの指揮ぶりを見る楽しみもある。いい指揮ってどういう指揮なのか,こちらにはそれがわかってないんだけど,理屈抜きに,見ててしっくりくる指揮。所作がきれいだなぁと思わせる指揮。

● 9月にはベートーヴェンの「第九」を演奏する。ホールの20周年を記念しての演奏会。
 どうやら,今年は栃木県内でも,いくつかの「第九」を聴けることになりそうだ。鹿沼市と栃木市でも予定されているようだし。

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