2013年7月22日月曜日

2013.07.20 楽団カーニバル2001フィルハーモニーオーケストラ第11回定期演奏会

杉並公会堂 大ホール

● この日,久しぶりにヨメと東京に出た。恵比寿(ガーデンプレイス)の「叙々苑」でビールを呑んで焼肉ランチを食べ,三越を覗き,さらにヱビスビール記念館でもビールを呑んだ。
 ビール記念館のテイスティングサロンってさ,以前は館内見学を終えた人が最後にビールを味わうっていう,文字どおりのテイスティングサロンだったような記憶があるんだけど,今は本格的に呑むための施設になってますな。居酒屋の要素が大きくなっているっていうか。テーブル席も増えてるし。お客さんの滞在時間も長くなっているようだった。

● 実際アレですよ,種々の反論があることを承知のうえで申しあげますが,ここは日本で一番旨いビールが呑めるところだと思ってますんでね。
 日本で一番ということは,ひょっとすると世界で一番かもしれない。こちらの体調によって味なんかぜんぜん違ってくるから,安易な比較は慎まなければいけないんだけど,ミュンヘンで呑んだビール,さほどじゃなかったような気がしててね。イギリスのパブで出てくるエールなんてやつは,呑まなくても想像がつくような気がしちゃっててさ。呑んだことはないんだけど,別に呑みたいとも思わねーよ,って感じでね。
 日本で呑むビールは美味しいですよ。グラスに対してまで気配りが行き届いているしね。しかも,この猛暑だし。

● このまま帰ってもよかったんだけど,せっかくだからというんで,スマホでフロイデを確認したところ,この楽団カーニバル演奏会があるのを発見。で,聴いて帰ろうか,と。
 ヨメは別なところに行きたそうだったので,ここからは単独行動。彼女は中学だか高校で吹奏楽部に入ってて,クラリネットを吹いていたらしいし,子供の頃からピアノを習っていたっていうんだけど,今では音楽とは無縁な生活をしている。それが悪いわけではない。ぼくも強いては誘わないことにしている。

● 開演は午後5時半。入場無料。曲目は次のとおり。
 ボロディン 「イーゴリ公」序曲
 グリーグ 「ペール・ギュント」組曲から抜粋
 チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
 曲ごとに指揮者が代わった。

● 最近読んだ『漂流 本から本へ』で,著者の筒井康隆さんが,イプセン『ペール・ギュント』を取りあげて,次のように書いている。
 イプセンはグリーグに伴奏音楽の作曲を依頼している。この組曲を初めて聞いたのは高校の放送部室でだったが,「オーセの死」「ソルヴェイグの歌」「アニトラの踊り」など名曲揃いで,特に「朝」にはいつもうっとりとしてしまう。
 今回は,「朝」「オーセの死」「ペール・ギュントの帰郷」「アニトラの踊り」「山の魔王の宮殿にて」の5曲を演奏。

● 恥ずかしながらCDでも聴いたことはないはずだ。要するに,初めて聴く。
 「朝」はほんとに朝という感じ。しかも,大方のサラリーマン諸氏にとってそうであろう憂鬱な朝ではなくて,やっと朝が来たぞって感じの朝ですね。あるべき朝っていいますか。
 でも,面白かったのは「アニトラの踊り」。こちらの気持ちにポンポン針をつついてくる。針といっても不快な痛みはなくて,快い刺激。

● でも,この曲を聴くには,イプセンの『ペール・ギュント』を読んでおくべきなんでしょうね。この作品をきちんと知っておけば,曲の細かいところにこちらの味わいが行き届くかもしれない。
 演奏する側にとっても,当然そうでしょうね。って,ステージで演奏している人たちの中に,この作品を読みましたっていう人はどのくらいいるんだろう。指揮者はさすがに読んでいるんだろうけど。

● チャイコフスキーの6番は久しぶりに聴く。若干のノイズはあったものの,さほど気にならない。
 第3楽章が終わったところで拍手が出てしまうのは仕方がないんでしょうねぇ。楽章間で拍手をしてはいけないことになっている。その理由もちゃんと説かれている。でも,この曲に関してはねぇ。
 ひょっとすると,楽章間での拍手を否定すること自体,何者かによる洗脳かもしれないなぁと思うこともあるんですよ。楽章間で拍手されると演奏する側の集中が途切れると言われたりもするんだけど,その割りには,次の楽章に移るまでに間を取り過ぎているような気がすることもあるしねぇ。これだけ間をあけたんじゃ,同じように集中が途切れるんじゃありませんか,と訊ねたくなることもあってさ。

● プログラムも高校生か大学生の部活のノリだし,ホームページもしかり。見てると楽しい。こういうふうにするのが好きな人がいるんでしょうね。楽しんでやってますよ,ってのを伝えようとしているんでしょう。それは伝わりすぎるくらいに伝わってくる。楽団の名前からしてそうですよねぇ。「楽団カーニバル」だからね。
 アマオケの原点だもんね。歯を食いしばって音楽性の追求だの,アンサンブルの純度を上げるだのって,そればかりじゃやってらんないでしょ。
 聴く方にしたって,芸術を味わうという以前に,エンタテインメントを楽しみに行くわけでね。よほどの朴念仁でもない限り,そうだと思うんですよ。というより,エンタテインメントの要素を含まない芸術なんて存在を許されないよねぇ。

● お客さんもかなり入っていた。2階席も含めて8割は埋まっていたんじゃないだろうか。これもなかなかすごい。無料効果? それだけじゃないと思いますね。
 最後は,オッフェンバッハの「天国と地獄」で盛りあがって終演。

● 帰りに,荻窪駅前の「富士そば」で夕食。かけそばとミニとろろ丼のセット,500円。こういうのって,味を云々してはいけないものだけど,「富士そば」ってけっこう美味しいですな。
 昼に食べた焼肉ランチは1,800円だったんだけど,原価率は「富士そば」の方が低いでしょ。おまけに,食券制だから,会計はお客さんが自動券売機を相手に自分でやってくれる。配膳もセルフ。人件費も節約できる。「叙々苑」より利益率は高いはずだ。
 一方でアレですよね,こういうところで食べる人って,そんなにお金持ちはいないんだと思う。これからお金持ちになる人はたくさんいるんだろうけど。

● 結局さ,お金を持っていない人が高い利益率を支えるという構図だよね。ぼくもだいぶ貢献してきたなぁ。
 商売は貧乏人を相手にするに限るって,一般則として成立しますか。数からいっても,お金持ちより貧乏人の方が圧倒的に多いだろうしね。
 とはいえ,この分野も競争は激甚なんだろうけどさ。

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