2013年3月21日木曜日

2013.03.20 東京アマデウス管弦楽団第78回演奏会

新宿文化センター 大ホール

● プログラムに載っている楽団紹介によれば,東京アマデウス管弦楽団は,「1973年,当時の東大オーケストラ卒団者を中心に結成された」。「団員の大半は音楽をこよなく愛するサラリーマンで,年代は20代から60代までと幅広い」とのこと。
 水準の高いアマチュアオーケストラのひとつとして,その評判を耳にすることが何度もあった。今日まで聴く機会を得なかったのは,ひとえにぼくが地方の片隅で息をしているからだ。

● 男性奏者が圧倒的に多い。ゆえに,黒っぽい感じの楽団だ。なるほど年齢にばらつきがある。
 が,女性奏者に限れば若い人が多かった。女性の場合,結婚して子どもができると,オケ活動を継続するのは事実上不可能になるだろうからね。

● 演奏したのは交響曲2つ。シューマンの4番とマーラーの1番。指揮者は石川星太郎さん。開演は午後2時。チケットは2,000円。当日券を購入。

● シューマン4番の演奏が始まってすぐ,居ずまいを正した。端正にして流麗。熟成してるのに鮮度抜群。極めつけに腕のいい職人の集合体だ。それぞれ,一家言を持っていそうだな。
 こういう人たちを統べなければならない立場にある指揮者も,並では務まらないだろうな。石川さん,まだ30代の半ば。今後,彼の名前を目にする機会がしばしばあることになりそうな予感あり。

● マーラーもねぇ,まったく乱れのない収束。曲の中に入りこむのと,曲を外から眺めるのと,同時にやっているんだろうけど,その塩梅が的確というか。お見事としか言いようがない感じ。
 楽々とやっているわけではない。当然だ。精魂を込めている。
 破綻はない。守って破綻を防いでいるんじゃない。守りに入ったら曲が死んじゃうもんね。
 攻めて攻めて,なお攻めて,ギリギリ攻めすぎないっていう,そこから立ちあがってくるオーラの濃度と大きさが客席を圧倒した。おそらく聴き巧者のお客さんも多かったに違いないが,彼ら彼女らからも何の文句もでないだろう。
 
● プロとアマの違いって何だろうと考えさせられた。国内には30前後のプロオケがあるんだろうか。いずれも運営は楽ではないだろう。
 公的援助の拡大を求める声を聞くこともあるけれども,一方でここまでの演奏をやってのけるアマオケがあるとすると,公的援助を求めてはいけないプロオケも数のうちにはあるのじゃないかと思えてくる。

 観客のためにだけオーケストラが存在しているわけではない(と思う)が,観客がオーケストラに対して第一に求めるものは何か。「良い演奏」に決まっている。では「良い演奏」とは何か。これが一筋縄ではいかない。厄介な問題だ。
 けれども,技術がすべてではないというのは絶対で,ここは譲るわけにいかない(技術じたい,その外延を定義することは難しいと思うんだけどね)。気迫とか,若さとか,老練とか,奏者の人生そのものとか,数え切れない多くの要因が絡み合って,個々のステージができあがる。

● 小さい頃から楽器を始め,高校,大学でも音楽を専攻し,プロの演奏家として立っている人の中には,一芸を究めてそこを突き抜けている,とんでもない人がいるのかもしれない。
 一方で,中途半端なプロってのもいたりするのかなぁ。単純に音楽以外は何も知らないっていうやつ。そういう人の演奏よりは,背後にいろんなものを抱えている人の演奏の方が面白いのかも。
 いや,ちょっと言葉が上滑りしてますな。演奏だけしてればすむなんて,プロの世界でもあり得ないだろうからね。世間に普通にあるものは,音楽界にもあるんだろうから。
 ただ,今回のようなアマチュアの演奏を聴いてしまうと,そんなことが頭をよぎるんですよねぇ。

● 少ない数の女性奏者が,それぞれ存在感を放っていた。結婚なんかしないで,ずっと活動を続けてもらえるとありがたいと,こちらとしては思うわけですけどね。
 身勝手すぎるお願いですな。

● ただねぇ,結婚して家庭を持つってそんなに魅力があることかなぁ。特に女性にとっては。現状では,結婚は男に得で,女に損。
 相手の男性の性格とか職業とかを超えて,メカニカルにそうならざるを得ないところがありますね。この点,よくよく熟慮あられたい,と。

● たとえば,夜遅くに帰ったとき,部屋の灯りがついていないって寂しいんだよね。そういう具体的リアルに打ち克つのってけっこう難しいし,友人の結婚式に出ると,虚飾とわかっていても,それに惹かれてしまう気持ちを統御するのもなかなかの難事だ。
 それらは充分に理解できるんだけれども,いっときの気迷いによる軽挙妄動は慎んだ方がよろしいかと。

● そんなことをしてたら少子化に拍車をかけてしまうじゃないか,って? いいじゃないですか。少子化ってそんなに悪いことじゃないと思いますよ。
 少なくとも,少子化が続いている間は,日本国が戦争を起こすことはない。戦闘要員がいないんだから。
 尖閣で何かあったときに,中国海軍を蹴散らすくらいは,海上自衛隊にとっては朝飯前だと思うんだけど,こちらから攻めこむ形の戦争なんてできるはずがない。悪くないじゃないですか。

● ぼくの隣に座ったのは中国語を話す夫婦とその知り合いのグループだった。だから何だってことはないんだけど,隣が外国人ってのは初めての経験だったもんだからね。
 外国人も来てるんですね。これからはこういう人たちとも仲良くしなきゃいけないのかなぁと思ってね。

0 件のコメント:

コメントを投稿