2013年3月4日月曜日

2013.03.03 アーリドラーテ歌劇団第2回公演 ヴェルディ「仮面舞踏会」

所沢市民文化センターミューズ マーキーホール

● アーリドラーテ歌劇団は「イタリアオペラの大作曲家G.ヴェルディの作品上演に特化したオペラ団体で」,「日本を代表するプロの歌手や演奏家から,腕利きのアマチュア音楽家まで,幅広い層が集い,2年に一度,G.ヴェルディの歌劇の全幕上演を行っています」とのこと。 
 「演出家・木澤譲の描く光の織り成す舞台,実力派歌手の協演,エネルギッシュな管弦楽,熱気あふれる充実の舞台をお愉しみください」とあっては,そそられるではないか。
 チケットは4,000円。この料金でオペラを観ることができるとはありがたい。

● さらに。3月1日から4月10日まではJRの「青春18きっぷ」が使えるんですよ。1日2,300円でJR線に乗り放題。ありがたや。
 大宮で埼京線(川越線)に乗り換えて,川越で下車。西武線の本川越まで歩いて(迷わなければ徒歩10分),西武線に乗り換え。各停で6駅めの航空公園駅で下車。片道260円。
 埼玉って東西の交流はほとんどないんでしょうね。それぞれがJR,東武,西武で東京につながっているから,南北にしか動かないんだろうな。埼玉県内を東西に動くのはけっこう不便そうだ。

● 航空公園駅前は新興開発地の趣そのまま。歩道が広くて,安心して歩ける。公園や運動場もあって,市民の憩いの場。高層団地が建ち並び,犬を散歩させてる人も多かった。
 加えて,文化施設もある。絵に描いたような都市型住宅地だ。こういうところに住みたいと思うかどうかは,しかし,好みによる。

● 所沢市民文化センターミューズは3つのホールを持ち,マーキーホールは中ホールという位置づけ。すんげぇ立派。斬新。ただ,そのために(観客にとっての)使い勝手が若干犠牲になっているところがあるかもしれない。
 開演は午後3時半。

● プロアマ混合といっても,出演者のほとんどは藤原歌劇団の団員か準団員。オーケストラのコンマスは池澤卓朗さん。
 こちら側としてはお得感が強いんですよね。この歌劇団の公演を2回目から観ることができたのは,気分としてはかなりラッキー。

● リッカルドに小山陽二郎さん,レナートが須藤慎吾さん,アメーリアは廣田美穂さん,ウルリカに牧野真由美さん,なにげに出番の多いオスカルが山崎陶子さん。
 シルヴァーノが和下田大典さん,サムエルが田中大揮さん,トムが小田桐貴樹さん,召使役に中野雄介さん。
 笑っちゃうほど上手なんだよねぇ。ほんと,もう笑うしかないでしょって感じ。異能の持ち主たちですよねぇ。

● そこを強いていうと,廣田さんの表現力っていうんですか,役の作り方に感嘆。歌で作るんだからねぇ。
 アメーリアのイメージは,凜としながらもはかなげで細面,うつむく姿がさまになっていて,でも同性には嫌われそうな,って感じだと勝手に想像してるんだけど,廣田さんご自身は,そういう感じじゃない。でも,そんなものは吹っ飛ばすっていうかね。見事なものですなぁ
 ウルリカとトムの存在感も印象に残った。合唱陣もきっちり鍛えてある感じ。

● オペラのストーリーはたいていが恋愛がらみ。不倫だったり,二股だったり。普通に考えるとさ,いい年こいて何やってんだよ,ってことなんだよねぇ。今回の「仮面舞踏会」でも,そんなのとっくの昔に卒業しとけよ,ってリッカルドに言いたくなったぞ。
 ところが,劇に入って行けちゃうんですよね。不思議な気分なんですよね,こんな馬鹿馬鹿しいストーリーに感情移入できちゃうってのが歌のもつ説得力だと考えるしかないんでしょうか。
 この劇の救いは悪人がいないこと。誰も悪くないんだよね。友人の奥さんに横恋慕するのが悪いったって,これ,しようがないもんなぁ。好きになろうと思って好きになるわけじゃないから。気がついたら好きになってたんだもん。

● 指揮は山島達夫さん。この人も異能者だね。東大の理Ⅰに入学したのに,学部は教養学部の総合社会科学科。在学中に司法試験に合格。現在は独禁法と人事労務に強い辣腕弁護士。東大在学中は東大歌劇団の総監督。
 いるんだよなぁ,こういうやつ。世の中は不公平にできてるってことを,つくづくわからせてくれるやつ。だいたい,本業も激務だろうに,なぜ歌劇団の運営や指揮までできるんだ。

● でね,この歌劇団って,東大歌劇団のOB・OG歌劇団的なものなんですか(→後日,山崎さんのサイトに「この団体は,私が昔に在籍していた東大歌劇団のメンバーが主軸となっています」と書かれているのを知った)。演出や照明や衣装などを含めて,在学中は思うに任せなかったところを思いっきりやってみたい,と。
 で,できちゃってるところがねぇ。団の運営は,基本,素人がやっていると思うんだけど。

● 残念なのは客席にだいぶ空席があったことで,これほどの公演をこれだけの低料金でやっているんだからね,もっとお客さんが入ってしかるべきで,それが入っていないのは現実の方がおかしい。
 まだ,2回目だからね,放っておいても知名度はあがっていくんだろうけどさ。

● ポツポツとオペラのDVDも集めているんだけど,DVDでオペラを観るって,なかなかやらない。っていうか,できない。その程度の興味しかないからだよって言われれば,それはそのとおりなんだけど,自宅で3幕のオペラを観るのって難しくないですか。
 平日はまず無理ですよね。かといって,休日に約3時間,DVDを観続けるのも,できそうでできなくてね。それをやってると,奥さんから苦言が飛んできませんか。
 かといって,今日は第1幕だけ観て,第2幕は次の週末に,ってのもなぁ。観るなら一気に観たい。このあたりをどうするかは今後の課題。
 なんだけど,結局,自宅でないところで観るしかないような気もしてましてね。ライヴの機会を捉えてね。それなら奥さんも見逃してくれるし。

● というわけでした。お得感満載。当然,次回以降もお邪魔しようと思っている。
 川越は通過したことは何度かあるんだけど,下車したのは初めてだし,所沢は足を踏み入れることじたいが初めてだった。ぼく的には小旅行ができた感じ。遠くへ行かなくたって旅感は味わえるものですな。

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