2009年9月30日水曜日

2009.09.10 間奏6:日本は音楽大国だということ


● アマチュアオーケストラが日本ほど活発に活動している国はないんだそうだ。市民オケ,大学オケ,企業オケ。数えきれないほどのアマオケが年に1回か2回の定期演奏会を実施し,それに向けて練習を重ねている。楽器を演奏できる人がたくさんいるってことだよねぇ。
 またそれを聴きにいく人もたくさんいるってこと。真岡市民交響楽団の定期演奏会でも,宇都宮大学管弦楽団の定期演奏会でも,会場の大ホールの7割方(の座席)が埋まる。すごい話だ。

● 日本では全世帯の4分の1がピアノを所有しているらしい。独身の若者や後期高齢者の単身世帯を含めた全世帯の4分の1だ。こんな国は日本以外に世界のどこにもない。
 ピアノに関しては,持っているけど使ってないってのがほとんどだと思うんですよ。家庭内にある諸々のブツの中で日常的に使われているのは,冷蔵庫や洗濯機,テレビなどの家電や電球,蛍光灯程度のもので,滅多に使われないモノの方がむしろ多いんだと思う。
 だけど,ピアノほど場所を占有しながら使用頻度が少ないモノも珍しいかもしれない。昔だったら応接間の書棚に置かれた百科事典がそうだったけど。
 しかし,ま,使わずとも,所有していることの効用ってのもあるんだろうしさ。

● さらに,年の瀬の「第九」。いつからどういう理由で年末に「第九」を演奏・合唱するようになったのか,それが年中行事になるまで普及したのはなぜなのか,そういうことは知らない。
 が,この時期に日本で消費される「第九」がどれほどの量になるか。目が眩むほどではないか。宇都宮市だけでも3回はある。ぼくが知らないだけでほかにもあるかもしれない。
 ポップスでもなくジャズでもなく,クラシック音楽。しかも,ベートーヴェンの第9番といえばシンフォニーの最高峰に位置する楽曲でしょ。それを第1楽章から第4楽章までそっくりぜんぶ消費する。強靱な胃袋を持った人が日本には多数存在するのだ。

● こういうものを支える源は何かっていうと,「お稽古ごと好き」ですよね。子どもができると,小さい頃からピアノを習わせる,ヴァイオリンを習わせる。
 お稽古ごとが好きだっていうパトスはどこから来るものなのかねぇ。なにがしかの効用があると思っているからこそ,時間とお金をかけて子どもにお稽古ごとを授けようとするのだろうからね。
 子どもにピアノを習わせる,そのためにピアノを購入することが,セレブやハイソと称される世界に片足を突っこむことになるという錯覚があるのか。音楽をやることが情操を養うとか,文化・教養を高めることにつながると,思いこんでいるのか。

● しかし,錯覚だろうと思いこみだろうと,その結果はかくも凄いことになっている。ぼくもその恩恵を享受させてもらっている。
  親がお稽古ごとをさせてくれたおかげで楽器を演奏できるようになった人たちは,音楽を終生の趣味にできる(嫌いになる人もいるだろうけど)。
 たんに聴くだけではない。演奏する側にあっての趣味だ。このことは相当以上に彼の人生を彩ることになるだろう。辛い人生を押し渡っていくうえで,彼は音楽に何度も助けられることだろう。

● それはともかく。
 日本ではプロに迫るレベルのアマオケもいくるかあるようで,たとえばアマデウス管弦楽団,オーケストラ・ダスビダーニャ,新交響楽団,ブルーメン・フィルハーモニー,ル・スコアール管弦楽団,東京アカデミック・カペレなどが著名な存在のようだ。
 大学オケでは早稲田大学交響楽団,慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ,東京大学音楽部管弦楽団,東京大学フォイヤーベルク管弦楽団のレベルが高いらしい(インターネット情報ですけどね)。
 やっぱりね,入試の偏差値に比例ですね。どうやらミスコンなんかもそうらしんですね。名のない大学のミスコン優勝者よりも慶応とかのメジャーどころの優勝者の方が綺麗だっていうね。妙に納得しやすいところが困るんだよなぁ。

● 日本ではアマオケが活発で演奏者の裾野は相当に広い。しかし,プロとアマトップの差に隔絶したものはないようでもある。
 その点,欧米では裾野は狭いけれども,トップは凄い。ウィーンフィル,ベルリンフィル,ニューヨークフィルなどなど。
 してみると,広く掘れば深く掘れるというのは本当なのかどうか疑ってみる必要があるね。
 日本は貧富の差が少ないとされるが,差が少ないのは貧富に限らず,知性・教養や人生観も然りだ。他を圧して有無を言わさぬ高みに至る人って,日本では少ないようですよね。
 いや,そんなことないよ,おまえが知らないだけだよ,ってか。

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