2011年6月30日木曜日

2011.06.12 栃木県交響楽団第91回定期演奏会

宇都宮市文化会館大ホール

● 6月12日は,6月唯一のコンサートに出かけた。栃響の定期演奏会。ベートーヴェンの第7番だったので楽しみにしていた。
 会場は宇都宮市文化会館。曲目はストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」組曲(1919年版),シベリウス「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」,ベートーヴェン「交響曲第7番 イ長調」。指揮は三原明人,ヴァイオリンは木野雅之さん。

● 木野さんはでっぷりと太った漫画っぽい体型の人だが,ぼくのような素人にもレベルの高さは伝わってくる。圧巻。
 しかし,最初の2曲は居眠りをしながら聴いてしまった。こういうことが今までになかったとは言わないけれども,ここまで眠かったのは初めてのこと。もちろん演奏のせいではなくて,こちらの体調管理が悪いからだ。極端な寝不足ということはないはずなのだが,何時に寝て何時に起きるかっていうところが週末から乱れていたので。
 演奏者には失礼千万なことだし,ぼく自身にとってももったいないことだ。

● 休憩後のベト7は普通に聴くことができた。ライブでベト7を聴くのはこれが5回目になるが,栃響がやるとこうなるのか。
 この曲のサビは第3楽章。楽器全体でバーッと盛りあげたところにラッパが合いの手を入れるところ。
 初めて聴いたCDはカルロス・クライバー指揮のバイエルン国立管弦楽団の演奏だった(ぼくの中ではそれがモノサシになってしまっている)。その後,ほかのCDやライブを聴いているわけだけど,その合いの手の入れ方が奏者によってだいぶ違っている。栃響では鋭く斬りこむような感じで演奏していた。

● それにしても。ベト7は盛りあがる。キーになる楽器はフルートとパーカッションだと思うのだが,パーカッションが出ずっぱりで休む間がない。始めから終わりまで,ずっと打楽器が参加している。テンションの高い状態が続く。太鼓叩きが汗だくになっていた。演奏する方も大変だろうが,聴いている側も疲れる。しかし,心地よい疲れだ。

● この曲を聴ける人生と聴けない人生のなんと大きな違いのあることか。ぼく一個でいえば,吉行淳之介の作品を読めたこと,モーツァルトやベートーヴェンやメンデルスゾーンを聴けること。これがあるのとないのとでは,人生の色合いが違うはずだ。

● 作品そのものが存在することはもちろん,それがCDになっていて,簡単に聴くことができる。今だとネットでもいくらでも聴ける。そういうものを支えるインフラができあがっていればこそだ。そういう時代に生きていればこそ。こういうのを幸運というのだろう。