2010年12月31日金曜日

2010.12.20 間奏16:地元に沈潜したい


● 東京まで聴きにいくことが,来年以降は大きく減るのじゃないかと思う。地元に来てくれるのを聴きに行くといった感じになるのじゃないかと思っている。

● 今年は11月末で聴いたコンサートの数は59になる。出かけた日数を数えると,年末で47日になる予定。これほどのバブルは今年だけで,来年以降はちょっと落ち着きそうな予感。コンサート数で半減,日数で3分の2ほどになるかなぁ。
 ひと頃のようにしばらくライブを聴かないと禁断症状が出るような状態ではなくなった。音楽熱じたいが落ち着いてきた感じ。ゆっくりとつきあっていければいいと思う。この2年間は憑かれたようにという感じだったけれども,その状態は卒業しそうだ。

● というわけで,来年は静かにひっそりと地元で開催される演奏会だけを聴いていくつもりだけど,ありがたいニュースがふたつ。
 ひとつは県内(宇都宮市)に新たなアマチュアオーケストラが設立されたらしいこと。マロニエ交響楽団という名前で,すでホームページも立ちあげている。来年10月に設立記念コンサートが予定されている。
 もうひとつは,宇大管弦楽団のOB・OGの楽団を立ちあげるというニュース。こちらはまだ未確定の部分があるようなのだが,再来年の5月に設立演奏会を開催したいとしている。
 地元が賑やかになるのは歓迎だ。地元に沈潜できる環境がより整うということだから。

● と言ったあとで何なんだけども,25日は東大音楽部管弦楽団の90周年記念演奏会が昭和女子大の人見記念会館で行われた。設立90周年の記念コンサートで,現役とOB・OGが演奏する。曲目もベートーベンの5番にブラームスの1番。ほかに,ワーグナーの「ニュルンベルグのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲」とブラームス「大学祝典序曲」という,ボリュームたっぷりの演奏会。
 この演奏会が開催されることは,7月につくばで聴いた同楽団のサマーコンサートのプログラムに告知されていた。ずっと楽しみにしていて,何度もネットをチェックして,チケット(千円)も発売開始早々に入手していた。

● のだが。1週間前に義父が脳梗塞で倒れ(幸いにして軽症),入院した。ヨメが実家の義母を訪ねることが増えた。25日もヨメを乗せてヨメの実家に行った。
 けっこうバタバタしている。ひとりで東京に行かせてくれとは言えない感じ。もし行けば,一生,文句を言われそうだ。
 結局,千円は流してしまうことにした。

● 27日は東大フォイヤーヴェルク管弦楽団の定期演奏会。こちらは賛助会員になっているので,指定席券を送ってくれていた。のだが,こちらも聴きに行けない。
 レベルが高く,ビジュアル的にも見栄えのする楽団なので,こちらもけっこう残念感が高い。が,ぼく一個の都合より家族優先になる。

● ところで,今年はショパンの生誕200年で,業界ではショパンを集客のタネにしようと目論んでいたと思うんだけど,これ,あまり盛りあがらずに終わってしまったのではないだろうか。
 高根沢町では町民ホールで仲道郁代さんのオールショパンプログラムのリサイタルがあって,町民が集結したんだけども,総文センターでも宇都宮市文化会館でも那須野が原ハーモニーホールでも,ショパンと銘打った催しはなかったと思う。

2010.12.19 第3回栃木県楽友協会「第九」演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 19日(日)は「第九」。管弦楽は栃響。昨年,初めて第九を聴いて,深く満足した。次も必ず聴くと決めていたので,早々にチケットも購入していた。
 で,2時開演のところ,早めに行って並び,1階左翼席の前の方に席を確保。ほぼ満席。
 一昨年までは自分には別世界のことと冷ややかに眺めていたのだが,今,観客のひとりになっているのが不思議なような。
 1,600人収容のホールが満席になるってのはやっぱりすごいことで,それだけでテンションが高くなる。奏者もゾクゾクするような緊張感に包まれてステージに立てるのじゃないかと思う。

● 今年も堪能しましたよ。第九を1楽章から4楽章まですべて聴いたあとの高揚感というのは,ちょっと他の方法では味わえないのではあるまいか。何といってもベートーヴェンの構想力がすごい。心地よく打ちのめされる。
 管弦楽も栃木を代表する栃響。ぼくが聴くには過ぎた楽団ですよ。これだけの演奏をしてもらえば,何も言うことはない。チケット代を何倍にもして返してもらったような気分になる。1,500円でこの90分間を体験できるなら,1,500円の使い方としてこれ以上に実のあるものはそうそうないだろう。

● ぼくの隣と前列はオバサングループだった。学ぶこと,楽しむことに対するオバサンの貪欲さは端倪すべからざるものがある。彼女たちがこういうコンサートを支えているに違いない。
 年寄り夫婦もいれば,若者のカップルもいる。ぼくのようなひとり組ももちろんいる。客席の態様は世間をそのまま凝縮したようだ。観客が多様であることも第九人気の反映だろう。

● 合唱団の中には相当な高齢者も混じってて,立っていられずに椅子をあてがっていた男性もいた。それでも果敢に歌っていたのは立派というべきでしょうね。

2010.12.18 宇都宮大学第70回定期演奏会


宇都宮市文化会館大ホール

● 18日(土)は宇都宮市文化会館で宇大管弦楽団の定期演奏会があった。宇大管弦楽団の定期演奏会は年2回,夏と冬に開催されるが,今年は夏(7月)の演奏会には行けなかったので,1年ぶりに聴かせてもらう演奏会だ。
 学生は礼儀正しく来場者を迎えるのだった。この点では東大音楽部管弦楽団がホテルマンを思わせる接待ぶりを見せてくれるのだが,宇大生もまた同じなのだった。折り目正しいというか,腰が低いというか。

● 文化会館の大ホールの8割が埋まっていた。
 そのお客さんの過半は招待状のハガキで,つまり無料で,入場した人たちだ。「ハガキの方は左側に,チケットの方は右側にお並びください」と楽員がアナウンスしてたんだけど,左側の列の方がずっと長かったからね。
 アンケートに答えると,次回からハガキ(招待状)が届くわけね。ちなみに,ぼくもハガキ組だ。ハガキを使わないでチケットを買うことも考えないではない。だけども,せっかく送ったハガキが使われないのではかえって申しわけないような気もして,対応を決めかねている。
 中でカンパでも募ってくれれば,堂々とハガキで入場して千円なりともカンパすればいいのだが,そういうふうにはなっていないので。

● 曲目はヴェルディ「歌劇ナブッコ序曲」,グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」,チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」。
 指揮者は北原幸男氏。父親は尺八奏者の北原篁山。細身でイケメン。羨ましいなぁ。桐朋学園を卒業して,ヨーロッパで修行。現在は宮内庁式部職楽部の常任指揮者であり武蔵野音大の教授でもある。

● ソリスト(ピアノ)は阿久澤政行さん。地元出身。宇短大附属高校,宇短大,武蔵野音大,同大学院と辿って,いくつかの賞を取り,現在はハンガリーのリスト音楽院に在籍しているそうだ。
 彼のピアノ,勢いがある。ズンズン響いてくる。こぢんまりとまとまったピアノじゃない。

● チャイコフスキーの5番をライブで聴くのはこれで3度目。好みが分かれるところかもしれないが,6番「悲愴」より5番が好きという人が多いだろう。6番は4楽章の終わり方が独特で,通好みという感じ。ちなみにいえば,ドヴォルザークも9番「新世界より」よりも8番のファンの方が多いでしょうね。

 今年は東大と芸大の学園祭に行って,いくつもの演奏会を楽しませてもらったのだが,わざわざ東京に行かなくても,栃木には宇大がある。

● 学生オケの良さは清新さだと思う。技術だけとればもっと巧いところはいくらでもある。が,この清新さだけは学生オケでなければ出せないものだ。
 清新さは生命力の躍動だ。彼らが緊張のうちに集中して音を紡いでいる様子は,命の蠢動を感じさせる。強さを無言でアピールしているようだ。
 生命力の躍動を見たい,彼らからエネルギーをもらいたい,若さを分けてほしい,っていう渇望がこちら側にあるのかね。年を取ったのかなぁと思いましたね。

2010.12.04 真岡市民交響楽団特別演奏会

高根沢町町民ホール

● 12月4日(土)は真岡市民交響楽団。会場は高根沢町町民ホール。
 楽団の常任指揮者になっている佐藤和男氏が高根沢町の出身だ。その縁で高根沢での演奏会になったのだと思う。1週間後には真岡市民会館で定期演奏会があるのだけれど,演奏曲目はその定期演奏会のものと同じ。今回は1週間前の総合リハーサルといった意味合いも?

● チケットは5百円。会場はガラガラなのではないかと思っていたが,なかなかどうして。左翼右翼の席は空きが目立っていたが,センター席はほぼ埋まっていた。

● 曲目は次の4つ。
  モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲
  チャイコスフキー スラブ行進曲
  チャイコフスキー 3大バレエ曲より抜粋
  モーツァルト 交響曲 第41番「ジュピター」

● 行進曲のようなノリのいい,大音響になる曲があると客席は盛りあがる。チャイコフスキーのバレエ曲は多くの人が聴いたことがあるので,やはり客席は盛りあがる。

● 佐藤氏の指揮の特徴は楽譜を見ないこと。暗譜で指揮する。
 ちなみに,お経は必ず教典を見ながら唱えなくてはならないものだそうだ。暗誦は認められない。関係ない話だけど。

● 定期演奏会ではそれなりの数の賛助出演者がいるのだけれど,今回は自前で賄っていたようだ。
 ステージが窮屈だったからね。エキストラに来てもらってもステージに場所がなかったでしょうね。

● 会場の壁が反響板を組みこんだ構造になっているはずもないから,可動式の反響板が持ちこまれた。けれども正面だけ。両サイドには何もなし。横から音がもれてしまう。狭いことと併せて,演奏者には過酷な環境だったと思われる。
 演奏者としては,今回の演奏でウチの楽団を評価してくれるなよ,と言うわけにはいかないだろうけれども,言いたいはずだよね,本音ではね